硝酸エステル類の性質 重要暗記項目
危険物取扱者試験で出題される危険物の「性質消火」問題の暗記ポイントをまとめていきます。
乙5/甲種危険物~自己反応物質~
硝酸エステル類
硝酸メチル
硝酸エチル
ニトロセルロース
ニトログリセリン
指定数量 10キログラム
第1種自己反応性物質
危険等級 Ⅰ
それ自体が可燃物であったり、同時に酸素供給体でもあるので、爆発的に燃焼したり衝撃によって容易に爆発する危険性の極めて高いグループ。多量の燃焼は極めて消火が困難。
引火点
硝酸メチル=15℃
硝酸エチル=10℃
Nセルロース=-
Nグリセリン=-
融点
硝酸メチル=-83℃
硝酸エチル=-94.6℃
Nセルロース=-
Nグリセリン=13℃
沸点
硝酸メチル=66℃
硝酸エチル=87.2℃
Nセルロース=-
Nグリセリン=125℃
比重
硝酸メチル=1.22
硝酸エチル=1.11
Nセルロース=1.7
Nグリセリン=1.6
上記は基本概要です。危険物試験合格には下段の性質・特徴を把握し覚えましょう。
硝酸エステル類の性質&指定数量
硝酸メチルの性質
<指定数量>
◎10キログラム
<形状・性質>
◎無色透明の液体。 ◎比重1.22、沸点66℃、引火点15℃、蒸気比重2.65 ◎芳香を有し甘みがある。 ◎水にほとんど溶けない。 ◎エチルアルコール、ジエチルエーテルに溶ける。 ◎長時間に酸化・熱分解が進み、自然発火することがある。
<危険性>
◎引火点・沸点が低く、燃焼・爆発しやすい。 ◎一旦着火すると消火は困難。 ◎長時間のうちには、酸化反応が進み自然発火することがある。
<貯蔵・取扱いの注意>
◎直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。 ◎容器に収納した時は必ず密栓する。 ◎なるべく少量ずつ貯蔵する。
<消火の方法>
◎大量の注水による冷却消火が最も効果的。物質内に酸素を有しているため窒息消火は不適当。
硝酸エチルの性質
<指定数量>
◎10キログラム
<形状・性質>
◎無色透明の液体。 ◎比重1.11、沸点87.2℃、引火点10℃、蒸気比重3.14 ◎燃焼範囲3.8%~ ◎芳香を有し甘みがある。 ◎水にわずかに溶ける。 ◎エチルアルコールに溶ける。
<危険性>
◎引火点・沸点が低く、燃焼・爆発しやすい。 ◎一旦着火すると消火は困難。 ◎長時間のうちには、酸化反応が進み自然発火することがある。
<貯蔵・取扱いの注意>
◎直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。 ◎容器に収納した時は必ず密栓する。 ◎なるべく少量ずつ貯蔵する。
<消火の方法>
◎大量の注水による冷却消火が最も効果的。物質内に酸素を有しているため窒息消火は不適当。
ニトロセルロースの性質
★セルロースを硝酸と硫酸の混合液に浸して作る。
★含有窒素量によって強硝化綿、弱硝化綿、硝化綿と分類される。
★無味無臭。外観は原料の綿、紙と同じ。
★水には溶けない。酢酸エチル、酢酸アミル、アセトンに溶ける。
★爆発の危険性は含有窒素量が多いほど大きい。
<指定数量>
◎10キログラム
<形状・性質・危険性>
<強硝化綿=高度硝化綿>
◎水酸基全部がエステル化したもの。窒素含有量12.76%以上。 ◎アセトンに溶かし、ゼリー状にしたものを無煙火薬という。 ◎ジエチルエーテルとエチルアルコール混合液に溶けない。
●点火、打撃、加熱などにより激しく燃え、爆発を起こす。 ●酸分が残っていると分解して自然発火することがある。
<弱硝化綿=中度硝化綿>
◎別名:パイロキシリン ◎水酸基の2/3が硝化されたもの。窒素含有量10.18~12.76%。 ◎エーテルとアルコールに溶かしたものをコロジオン(=溶剤として使用される場合が多い)という。 ◎ジエチルエーテルとエチルアルコール混合液に溶ける。
●危険度はやや少ないが、強硝化綿と同じである。 ●コロジオンは引火点が-18~-17℃と低く爆発性もある。
<硝化綿=低度硝化綿>
◎窒素含有量6.77~10.18%。 ◎セルロイドの原料になる。
<貯蔵・取扱いの注意>
◎アルコールまたは水で湿綿として安定化させ、冷所に貯蔵する。 ◎点火源となるような熱源を避け、打撃、摩擦を加えないようにする。 ◎自然発火を起こしやすいので、分解には気を付けて安全に管理する。
<消火の方法>
◎大量の注水による冷却消火が最も効果的。物質内に酸素を有しているため窒息消火は効果がない。
ニトログリセリンの性質
★ニトログリセリンにニトロセルロース、けいそう土を加え、ゲル化させたものをダイナマイトという。
<指定数量>
◎10キログラム
<形状・性質>
◎無色透明の油状液体。 ◎比重1.569(15℃)⇒融点13℃⇒比重1.735(10℃)、沸点160℃、蒸気比重7.84 ◎アセトン、メタノール、エーテル、ベンゼンによく溶ける。 ◎水には溶けない。
<危険性>
◎加熱、衝撃、摩擦により激しい爆発を起こす。 ◎皮膚や粘膜から体内に吸収されて血管を広げる作用をする。 ◎蒸気は有毒で、吸収すると頭痛を起こし、激しい時には発熱やめまいを起こす。
<貯蔵・取扱いの注意>
◎加熱、衝撃、摩擦を避ける。 ◎火気などの高温体との接触を避ける。 ◎蒸気を吸ったり皮膚に付けたりしないようにする。 ◎凍結させると危険である。 ◎こぼしたりした時はカセイソーダのアルコール溶液を注いで分解して布片で拭き取る。
<消火の方法>
◎一瞬で爆発し尽くされるため消火は事実上不可能。大量注水。
以上は危険物取扱者試験(性質分野)に出やすい部分の「抽出」です。
確実に試験に合格するためには必須の暗記・整理項目なので、頑張って記憶していきましょう。
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乙種第5類危険物 共通重要項目
一般的概要
自己反応物質とは、爆発の危険性を判断するための試験で一定の性状を示す固体もしくは液体、または加熱分解の激しさを判断するための試験で一定の性状を示す固体または液体。
共通危険性
いずれも可燃性の個体、または液体で、比重は1より大きい。
一般に可燃性物質と酸素供給源とが共存している物質であるため、極めて燃焼速度が速い。
加熱、摩擦、衝撃などにより発火し、爆発するものが多い。
空気中に兆時間放置すると、分解が進み自然発火するものがある。
引火性のものがある。
金属と作用して爆発性の金属塩を形成するものがある。
共通火災予防
分解しやすいものは、特に室温、湿気、通風に気を付ける。
火花、炎、高温体との接近、加熱、衝撃、摩擦を避ける。
分解を促進する一切の要件を断つ。
容器の破損、亀裂が起らないように注意して取り扱う。
共通消火方法
第5類危険物は爆発的に燃焼し、かつ燃焼速度がきわめて速いので、少量または初期以外は消火は困難である。
酸素を含有しているものは、窒息消火をしようとして空気を遮断しても火は消えない。
大量の水で冷却して消火する。
乙種第5類(自己反応性物質の性質・火災予防・消火)
ここではこの類の試験に必要な「性質消火」対策として必要な範囲をまとめてあります。「物理化学」「法令」対策については別ページにまとめてあるので、科目免除を受けない方は「物化・法令」も同時に勉強・理解しましょう。
※以下↓の物質名から各個別性質解説ページへ飛びます。
▶1-有機過酸化物の性質の要点
詳細ページへ
メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド…
▶2-硝酸エステル類の性質の要点
詳細ページへ
硝酸エチル、ニトロセルロース(無煙火薬・コロジオン・セルロイドの原料)、ニトログリセリン…
▶3-ニトロ化合物の性質の要点
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ピクリン酸…黄色の結晶、金属塩を作る。トリニトロトルエン…爆薬、金属と作用しない…
▶4-ニトロソ化合物の性質の要点
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ジニトロソペンタメチレンテトラミン…DPT、ホルムアルデヒド、アンモニア、窒素を生じる…
▶5-アゾ化合物の性質の要点
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アソビスイソブチロニトリル…AIBN、窒素とシアンガスに分解する…
▶6-ジアゾ化合物の性質の要点
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ジアゾジニトロフェノール…DDNP、アセトンに溶ける。光で褐色に変色する…
▶7-ヒドラジンの誘導体の性質の要点
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硫酸ヒドラジン…冷水に溶けないが温水に溶け、アンモニア、二硫化硫黄などを生成…
▶8-その他指定物の性質の要点
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アジ化ナトリウム…300℃で窒素ガスとナトリウムを生成、硝酸グアニジン…大量の水で消火